2022/07/19
静岡県浜松市教育委員会
見える化で仕事の効率アップを② 減らない教員業務を切り分け
プリントした調査票を指しながら説明する浜松市教委の伊藤稚佳子グループ長(左)と市川浩教指導主事
小中学校で調査-浜松市教育委員会
浜松市は、自動車や二輪車の部品工場などが立地する都市部と過疎化が進む中山間地域を併せ持つことから「国土縮図型都市」とも呼ばれる。自治体が直面する多くの課題が存在するため、仕事の効率化は喫緊の課題。これまで市役所全体の業務改善に努めてきたが、他都市の状況と比較し、さらなる改善につなげようとガバメイツの全庁業務量調査を受け、精査が進められている。
その延長線上で、市教育委員会とガバメイツ、市立小中学校のICT教育をサポートしている「遠鉄システムサービス」(ESS、浜松市)の3者が、市立小中学校の調査などに関する連携協定を結んだ。
教委がガバメイツに教員の業務量調査を依頼するのは全国で初めてだ。約6万1500人の児童生徒に対し、教員3660人を配置している市教委は、これまで校長や保護者の代表のほか、学識経験者も参加する「学校における働き方改革推進部会」で教員の負担軽減について協議を重ねてきた。勤務時間外の電話を自動音声対応にしたほか、校務アシスタントを配置するなど、さまざまな対策を講じ成果も出ているが、抜本的な改善にはつながっていない。
その延長線上で、市教育委員会とガバメイツ、市立小中学校のICT教育をサポートしている「遠鉄システムサービス」(ESS、浜松市)の3者が、市立小中学校の調査などに関する連携協定を結んだ。
教委がガバメイツに教員の業務量調査を依頼するのは全国で初めてだ。約6万1500人の児童生徒に対し、教員3660人を配置している市教委は、これまで校長や保護者の代表のほか、学識経験者も参加する「学校における働き方改革推進部会」で教員の負担軽減について協議を重ねてきた。勤務時間外の電話を自動音声対応にしたほか、校務アシスタントを配置するなど、さまざまな対策を講じ成果も出ているが、抜本的な改善にはつながっていない。
■減らない教員業務を切り分け
その背景について、市教委教育総務課の伊藤稚佳子副主幹は「教員の業務はますます増えるばかりで減ることがない。授業を中心に教員でないとできない業務もあれば、日々の安全指導や施設管理などの中には教員でなくてもできる業務もある。しかし、その切り分けがなかなかうまくできない」と語る。
今回の調査で、小学校96校、中学校48校から、小中それぞれ大規模校(児童生徒数約600~750人)2校、中規模校(同約250~450人)3校、小規模校(同180人以下)2校の計14校を抽出。各校の回答者を教頭、教務主任、研修主任、生徒指導、学年主任(小1と中3)、情報化推進リーダー、発達支援コーディネーター、担任(小学校は2、4、6年。中学校は各学年)とし、計約140人から回答を得た。
今回の調査で、小学校96校、中学校48校から、小中それぞれ大規模校(児童生徒数約600~750人)2校、中規模校(同約250~450人)3校、小規模校(同180人以下)2校の計14校を抽出。各校の回答者を教頭、教務主任、研修主任、生徒指導、学年主任(小1と中3)、情報化推進リーダー、発達支援コーディネーター、担任(小学校は2、4、6年。中学校は各学年)とし、計約140人から回答を得た。
■多忙な教頭の働き方改善を
教員の負担にならないように、調査シートの設問や回答方法について、ガバメイツとESS、市教委担当者が事前調整。なるべく簡便に回答できるように工夫し、設問数を92に絞った。このほか、新型コロナウイルス感染拡大により業務が増加している養護・栄養教諭は、他教員と業務内容も異なることから、アンケート調査ではなく、ヒアリングで対応した。
今回の調査について伊藤副主幹は「市教委や学校とは立場の異なる人から新しい視点、違う角度から見てもらえることに期待している。例えば、ICTなどを利活用し、どの学校でも一番多忙な教頭先生の働き方が改善できれば」と話す。
8月中に示される中間報告での改善提案を受け、早ければ2学期中にも新たな働き方改革の取り組みを始める。その検証を踏まえた最終報告を年度末に受け取る予定だ。
今回の調査について伊藤副主幹は「市教委や学校とは立場の異なる人から新しい視点、違う角度から見てもらえることに期待している。例えば、ICTなどを利活用し、どの学校でも一番多忙な教頭先生の働き方が改善できれば」と話す。
8月中に示される中間報告での改善提案を受け、早ければ2学期中にも新たな働き方改革の取り組みを始める。その検証を踏まえた最終報告を年度末に受け取る予定だ。
公務員に考える材料を=ガバメイツ・別府幹雄社長
ガバメイツが自治体業務の「見える化」に取り組むようになった問題意識について、別府幹雄社長は「本当に公務員でないとやれない仕事をしているのか。市民から喜ばれることに予算が使われているのか疑問だったからだ」と話す。「隣の自治体と比較し、そもそもこの仕事を紙に出してやっていないという気付きを『見える化』したい」といい、公務員に考える材料を提供するのが狙いだと強調する。
今年度、ガバメイツは住所変更や介護認定の申請など行政手続きのオンライン化に向けたシステムをつくる「市町業務標準化モデル構築事業」を愛媛県から受注した。国がマイナンバーカードを使ってオンライン化を目指す27手続きについて、県内全20市町の間で申請様式や事務のフローを標準化する。紙による申請内容をデータ化し、手続きをペーパーレスで完結する手順によって、作業の効率アップにつなげる。別府社長はこの標準化の仕組みついて「(人口)1万人規模から50万人規模の(愛媛県内の)自治体でつくれば、全国に展開できるモデルになる」と期待。同県で積み上げる実績の幅広い浸透を目指す。
今年度、ガバメイツは住所変更や介護認定の申請など行政手続きのオンライン化に向けたシステムをつくる「市町業務標準化モデル構築事業」を愛媛県から受注した。国がマイナンバーカードを使ってオンライン化を目指す27手続きについて、県内全20市町の間で申請様式や事務のフローを標準化する。紙による申請内容をデータ化し、手続きをペーパーレスで完結する手順によって、作業の効率アップにつなげる。別府社長はこの標準化の仕組みついて「(人口)1万人規模から50万人規模の(愛媛県内の)自治体でつくれば、全国に展開できるモデルになる」と期待。同県で積み上げる実績の幅広い浸透を目指す。
「見える化」浸透を展望する別府社長
■地方にチャンス
自治体のシステムを共通化すれば、地域間の格差は解消される。自治体にとってメリットだが、逆に、地域間競争の土台が同じになることを意味する。別府社長はその先を見つめ「電子化・標準化されて、ネットワークの世界になれば(東京や大阪だけではなく)地方にチャンスがある」と展望する。システムを入れたらそれで終わりではなく、メンテナンスやコンシェルジュ的な役割も必要。ただ、ガバメイツが全国のすべての自治体の面倒を見られるわけではないため、地域の企業をパートナーとして育てていく考えだ。パートナーとして重要視しているのは各地域のベンダーや地方金融機関。地元のベンダーなどと連携することで、ガバメイツが持つ全国のデータを生かしながら、地域の実情に沿った業務改善やシステム構築が可能となる。「地方に仕事をつくりたい。お金は地元で回らないといけない」と夢はさらに広がっている。
出典:時事通信社 「iJAMP」企画タイアップ
(※ガバメイツの前身であるコニカミノルタ社時の内容を含んでおります。)